日本に住むアメリカ人のホームタウンを作りたい(井上社長)
今回のインタビューは…
横須賀で「ヨコスカ・バイリンガルスクール」という日本人と外国人の子供が通う保育園を経営する井上芙美さんにお話を伺いました。
横須賀で「ヨコスカ・バイリンガルスクール」という日本人と外国人の子供が通う保育園を経営する井上芙美さんにお話を伺いました。
子どもたちがレゴを取り合ってケンカをしていたからヨコスカ・バイリンガルスクールは生まれた
「なぜ普通の保育園ではなく、
インターナショナル保育園を作ったのでしょうか?」
園に通う3名の子どもたちを私自身も世話をしていたある日、子どもたちがケンカをしたんです。
そのケンカを見て「ハッ!」としたんです。
そのケンカは子どもたちがレゴを取り合うという保育園では日常茶飯事となっている光景だったのですが、ケンカをしていたのが日本人とアメリカ人の子供で、その内容が日本語と英語が混じり合ったケンカだったのです。
その姿を見ていて「ここには日本人の子供とアメリカ人の子供がお互いに過ごすことができるバイリンガルスクールになれる可能性がある」と気づいて、保育園の名前をヨコスカ・バイリンガルスクール(YBS)と改名したんです。
つまり、横須賀という土地もバイリンガルスクールという形式も偶然の産物で、後付けです(笑)
「その後どうやってバイリンガルスクールとして集客したのですか?」
そのアメリカ人の子供の親が米軍で働いていてクチコミしてくれました。評判を聞いたアメリカ人の人たちがどんどん集まるようになり、2014年に始まって今では「アメリカ人7:日本人3」という逆転現象が起きているんです。バイリンガルスクール保育園として考えると業界でもかなり異端な状況です。
そういうYBSだから、英語教育や海外への意識が高い日本人の親にとっても絶好の環境として評価してもらえている状態です。
週末アメリカンスクールを開催して小学校前のグローバル教育に貢献
「絶好調ですね!」
おかげさまで、潰れかけの保育園時代に借りていた場所は定員いっぱいになったので、新しく横須賀駅前のタワービルの階を借り切ったのですが、そちらももう定員になってしまいました。
今は週末アメリカンスクールに力を入れていて、日本人と仲良くなりたいアメリカ人の子供と、英語を話すのは怖くないという経験を積みたい日本人の子供が一緒になってゲームや散歩をするイベントを毎月数回行っています。
こちらでも一般的な英語イベントとは逆の現象が起きていて、アメリカ人20名と日本人20名という定員で募集するのですが、アメリカ人の定員が先にいっぱいになってしまってキャンセル待ちという状態なんです。
これから英語の授業が小学校でも3年生から必修になりますよね。そういった流れも後押しとなって、小学校に入る前から「英語体験」「英語を話すと友達を作る」といった人と人との繋がりから英語教育を開始するためにも、こういったイベントを子供に利用させたいとお考えの日本人は多いので、日本人にもアメリカ人にも価値を生んでいるイベントだと思います。定員に漏れてしまった人や、参加した人からも、もっと開催してほしいという声が届いているので「週末にグローバル教育」ができるような環境を横須賀に確立していきたいです。都心に住む人にとっても週末に少し足を伸ばすにはうってつけの距離感だと思っているので、今後は広く参加者を募って英語を通して子どもたちが繋がり会える機会を作っていきたいです。
最近では社会人向けの週末アメリカンスクールもやってほしいという声に応えて、アメリカ人と日本人でBBQや食事をするイベントを行っています。
保育園が主体となって、こういう企画を行うということに意義があると思って積極的に企画しています。
日本に住むアメリカ人にとって横須賀が第2のホームタウンになったら嬉しい
「どうして保育園が主体となることに
意義があると思われるのでしょうか?」
週末にどこかのイベントに参加するという一過性の経験にも良いところはあるのですが、保育園という毎日・毎週通うコミュニティが開催するイベントであれば、スタッフやいつものメンバー、そこに参加してくれるゲストの日本人との継続的な交流が生まれることになります。そういう繋がりを感じられる経験が、一時的に数年を日本で過ごすアメリカ人にとっては日本との絆となり、横須賀を第2のホームタウンとして大切に思ってもらえると感じています。
毎年600人近い米軍関連のアメリカ人が日本に来て、そして日本から出ていきます。中には教育事情や文化の違いに馴染めずに日本が嫌いになったまま帰国する人も少なくありません。600人の内ある程度の人数が日本嫌いのまま帰国する事態が延々と毎年繰り返されると思うと、ゾッとしませんか?
日本と、日本人の良いところも知ってほしいと思いますし、その過程で日本人の子供達にも「英語を話すことは怖くない」という経験を作れたらお互いにとって良いことだらけですよね。実際そういう声は多くて、YBSに来てくれる日本人の親御さんからは外国の子供達との密な交流を期待されています。
「誰かの声に応えながら成長してきたのですね!」
そうですね、まずニーズがあって、それに応える方法を探していたらYBSになっていたという感じです。実は今もそういう流れで横須賀に国際バカロレアという原則に則った小学校を作ろう!という流れになっているんです。
アメリカ人を受け入れることができる小学校はかなり厳しい条件で学級運営を強いられます。そのため生徒全体のことを考えると、日本語が分からない・漢字が読めないアメリカ人を同じクラスに受け入れることができる小学校というのは大変不足しているんです。それはこの横須賀であっても同じことです。
そこでアメリカ人の親から「アメリカ人の子供が日本でも高い水準の教育を受けられる小学校を作って欲しい」という相談を受けて、今は小学校の設立を企画しています。
次は横須賀に小学校を作る
「またもや声に応えるんですね!
でも小学校というと難しいイメージです。
数年がかりというニュアンスでしょうか?」
いや、それが今年の9月(半年後)からスタートさせる予定です(笑)
国際バカロレアというスイスのジュネーブに本部を置いて世界中で認知されている教育プログラムがあるのですが、この原則に則った小学校を設立します。この国際バカロレアというのは日本では知られていませんが、実はスティーブ・ジョブズもこの教育プログラム出身だったり、スタンフォード大学やハーバード大学などでは国際バカロレアの教育プログラム出身者のための入学枠もあるんです。更に言うと日本でも上智大学や国際基督教大学などを始め、多くの大学が特別枠を設けているくらい注目が集まっているプログラムなんです。東北大学では医学部にも特別枠を設けるなどして、深い教養が育つことが期待されるプログラムなんです。
そんな小学校が横須賀にできる。9月にできる。というのが私が今動いている活動です。
国際バカロレアについて
日本政府は2018年までに国際バカロレア認定校200を目指している。この原則に則った小学校を卒業しても、残念ながら日本の義務教育を終えたということにはならない。ただし井上さんの活動においては、アメリカ人の子供の進学先を確保することに主眼が置かれているため、日本の義務教育への執着は少なく、特に問題にはなっていない。
日本政府は2018年までに国際バカロレア認定校200を目指している。この原則に則った小学校を卒業しても、残念ながら日本の義務教育を終えたということにはならない。ただし井上さんの活動においては、アメリカ人の子供の進学先を確保することに主眼が置かれているため、日本の義務教育への執着は少なく、特に問題にはなっていない。
井上芙美
横浜市出身、横須賀市在住。フェリス女学院大学卒業後、University of
Phoenixにて教育学の修士号取得。TOEIC945ホルダー。横須賀に住むアメリカ人と日本人がバイリンガル環境で英語を学ぶ横須賀バイリンガルスクールを運営。開園後半年で満席となる。アメリカ人と日本人が一緒に、国際交流を通して学ぶ横須賀初のバイリンガル環境でバイリンガル教育を実践。脳が構築される12歳までの教育=保育園と学童の一体化、一貫教育をめざし、グローバルな環境で日本人としての誇りを持ち、世界で戦える本物の力を備えた子どもたちの育成がミッション。横須賀に住むアメリカ人と地域や各企業、団体とのコラボやイベントを通して日本の架け橋になる事業も企画。横須賀ならではのグローバル社会の仕組みを促すことにも精力的に活動。ビジネスを通して、横須賀のアメリカ人と日本人がもっともっと楽しく過ごす社会を目指している。
横浜市出身、横須賀市在住。フェリス女学院大学卒業後、University of
Phoenixにて教育学の修士号取得。TOEIC945ホルダー。横須賀に住むアメリカ人と日本人がバイリンガル環境で英語を学ぶ横須賀バイリンガルスクールを運営。開園後半年で満席となる。アメリカ人と日本人が一緒に、国際交流を通して学ぶ横須賀初のバイリンガル環境でバイリンガル教育を実践。脳が構築される12歳までの教育=保育園と学童の一体化、一貫教育をめざし、グローバルな環境で日本人としての誇りを持ち、世界で戦える本物の力を備えた子どもたちの育成がミッション。横須賀に住むアメリカ人と地域や各企業、団体とのコラボやイベントを通して日本の架け橋になる事業も企画。横須賀ならではのグローバル社会の仕組みを促すことにも精力的に活動。ビジネスを通して、横須賀のアメリカ人と日本人がもっともっと楽しく過ごす社会を目指している。