[#03] 生徒さんの英語をサクッと「分り易く」するminimal pairs
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シリーズのインデックス
・[#01] 英会話講師なら知っておきたい4つのノンバーバル・コミュニケーション
・[#02] 生徒が求める敬語レベルで英語を教えるための4つの表現方法
・[#03] 生徒さんの英語をサクッと「分り易く」するminimal pairs (いまここ)
・[#04] 生徒の発音練習に最適なレッスン「コネクテッドスピーチ」
・[#05] たった1つのルールでディスカッションを制する!「かるた」ディスカッション練習法
ネイティブのように?
「英語ネイティブのような発音で話せるようになりたい!」という要望を多くの生徒さんから聞きます。
そんな時に必ず生徒さんにお聞きすることがあります。
それは「ネイティブの英語とは、どんな英語のことを指しているのか?」ということです。
国際共通語としての英語(English as a Lingua Franca)には、ネイティブ/ノン・ネイティブという区切りは存在しません。
それを実感して貰うために、まずは世界の様々な英語(World Englishes)をリスニングしてもらい、「ネイティブ英語」という古い概念は捨て去ることをお勧めしています。
you should learn to speak proper English!
3.アクティビティ<minimal pairsを使って音を使い分ける練習>
1) アメリカ英語は本当にカッコイイのか?
日本における英語学習はどうしてもアメリカ英語に偏りがちです。
学校で使う教材やメディアで見聞きする英語もアメリカ英語が圧倒的に多いからこそ、アメリカ英語を身につけることがゴールになりやすい環境であると言えます。
やみくもにアメリカ英語がカッコイイ!と思われている生徒さんに、私はいつも自分の実体験をお話しています。
・you should learn to speak proper English!
私はアメリカ在住期間がある程度あったこともあり、英語で話すと話し相手に大抵、“Where did you learn your English?”と聞かれます。
状況にもよりますがこの質問には様々なニュアンスがあり、褒め言葉のように聞こえることもあれば、明らかに皮肉に聞こえることもあります。
つまり「どう見てもアジア人の外見をしているあなたが、なぜアメリカ人のような英語を使っているの?」というニュアンスです。
オーストラリアやニュージーランドを訪問した際は、冗談まじりで“Next time, you should learn to speak proper English!”と言われたこともありました。
アメリカ人とだけ英語を使っているだけでは、このような考えには遭遇しません。
英語には様々な基準があり、アメリカなど英語圏の英語が唯一の「ネイティブ英語」ではありません。
これは様々な国の人と、国際共通語として英語を用いた際に初めて気づくことかもしれません。
2) 通じるかどうかが何よりも大切!
ネイティブの英語を基準としないとなると、何を学習のゴールにして良いのか分からないと感じる生徒さんも多いかもしれません。
確かに留学やビジネスなどのために、特定の「ネイティブ英語」をゴールにするのは個々人の生徒さんの自由です。
しかし国際共通語としての英語を身につけたいのであれば、「通じる・分かりやすい英語」をゴールとすることをお勧めしています。
目指すべき像は「見た目が日本人なのに話すとアメリカ人」ではなく「通じる英語を話す日本人」です。
前者よりも後者の方が目標として現実的なだけでなく、国際的に通用する人物像だと言えます。
どうすれば、分かりやすい英語を話せるようになるのか。もっとも練習しやすいのが発音です。
・これを意識すれば「国際的に通じる英語」に様変わり!
実はいくつかの音を意識するだけで「通じない日本人英語」から「国際的に通じる、分かりやすい英語」に様変わりします。
その主な音とは、母音「オ」「ア」と子音「シ」「ジ」「ブ」「ル」の音です。
発音記号でいうと
[ɜː] – [ɑː],
[oʊ] – [ɑː],
[ɝː] – [ɑːr] [ɑɚ],
[ʌ] – [ɑː],
[ɔːr] – [ɑː][ɔː]
子音
[sɪ] – [ʃɪ],
[zɪ] – [jɪ],
[b] – [v],
[r] – [l]
の使い分けです。
日本語ではこれらの音の使い分けをしないため、日本の学習者にとってはもっとも練習が必要な音です。
3) アクティビティ<minimal pairsを使って音を使い分ける練習>
一つの音素だけが異なる言葉のペアをminimal pairと呼びます。
例えば、luck– lock は前者が[ʌ]、後者が [ɑː]という音の違い以外は同じ音素を持っています。
このminimal pairを使った下記のような図を用いて、発音練習やリスニング練習ができます。
1.ペアまたはグループを作ります。
2.全員にminimal pairの図を配布します。
3.一人が読み上げ役、残りは聞き取り役になります。
4.読み上げ役は図の上の段から順番に好きな方を読み上げます。
5.聞き取り役は読み上げられた言葉を聞き取り、最終的に(a) ~ (p)のどこに行き着いたかを読み上げ役に伝えます。
6.答えが違っていれば、どこで違っていたのかを確認します。
このアクティビティは様々なminimal pairを用いることで、あらゆる音の練習が可能です。
4) 使えるリソース
1.World English listening: 様々な国の英語がリスニングできるウェブサイト
2.世界中のラジオ番組をオンラインで視聴できるウェブサイト(iTunesでアプリもあります。)
3.English club:様々なminimal pairがリストアップされているウェブサイト