[#04] 生徒の発音練習に最適なレッスン「コネクテッドスピーチ」
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シリーズのインデックス
・[#01] 英会話講師なら知っておきたい4つのノンバーバル・コミュニケーション
・[#02] 生徒が求める敬語レベルで英語を教えるための4つの表現方法
・[#03] 生徒さんの英語をサクッと「分り易く」するminimal pairs
・[#04] 生徒の発音練習に最適なレッスン「コネクテッドスピーチ」 (いまここ)
・[#05] たった1つのルールでディスカッションを制する!「かるた」ディスカッション練習法
連続発音
語彙力や文法力、読解力もあるのになぜか英語が聞き取れない、という生徒さんにはconnected speech(連続発音)の指導をしています。
日本語においても、書き言葉では「〜ではない」が話し言葉になった途端「〜じゃない」に変化するのと同様に、英語でも話し言葉になると発音の仕方が微妙に変化します。
前回([#03])ネイティブ発音を目指す必要はないと断言した通り、今回ご紹介する「連続発音」をできるようになる必要はありません。
ただ、いくつかの発音のルールを知ることによってリスニング力が上がり、更には「英語らしい」発音がしやすくなります。
1)water =ウォーター?わら?
このconnected speechの中でもよく聞く例がwaterかもしれません。実際に「ウォーター」と発音せず、日本語の「わら」に近い発音をするケースが多く、特にアメリカ英語ではほとんどの人が「わら」と発音します。実は、ここでは音声学でいうflapped [ t ]の法則が働いています。flapped [ t ]とはtの後ろに母音が来たときに[ t ]が[ r ]に近い音に変化する、という法則です。
この法則の例をいくつか挙げると、
Get out! →「ゲラ」、It is… →「イリィズ」、A lot of… →「アラーオブ」、Not at all.→「ナーララー」
などです。
2)リスニングには絶大な効果!
上記のケースではいずれも、flapped [ t ]を発音する必要は必ずしもありませんし、通常の[ t ]でも十分通じるでしょう。ただ、実際にこのような音の変化を聞き取れないとリスニングができない、というのもまた事実だと思います。リスニングする際に、知っておくと役に立つ主な法則を以下にご紹介します:
1.ダブル子音
音節の終わりと次の区切りの最初の音が同じ子音である場合、2つの音が1つの音として発音されます。(最初の音が発音されない、と考えても良いでしょう)
例:bad dog、night train、I’m a bit tired.、We have a lot to do.、Tell me what to do. など
2.消えるtd
[ t ] [ d ]が二つの子音に挟まれた場合、発音されません。
例:Chris(t)mas、nex(t) week、Jus(t) do it!、This is the wors(t) day of my life.
3.つながる音(子音+母音)
子音で終わる音節の後に母音で始まる音節が続く場合、子音と母音の音が合体して1つの音として発音されます
例:an apple [na]、a cup of tea [cuppa]、Wait a minute! [ta]、Have a nice day! [va]
4.消えるh
代名詞などの大きな意味を持たない語(function words/機能語)の最初の音がhの場合、発音されません。
例:Did he…? [di]、should have done [dve]、Let her go. [leter]
3)アクティビティ<「ひらがな」リスニング>
1.英語のconnected speechをなるべく多く含む文を準備する。
2.先生が文を1つずつ読み上げる。
3.生徒は読み上げられた英文を聞き取り、なるべく音に忠実にひらがなで書き取る。
例:Did you eat yet? → でぃじゅいーやっ?
4.例文を一覧にまとめたものを生徒に渡す。
5.生徒はメモしたひらがなの文と、どの英文が一致するかを確認する。
6.メモしたひらがなをヒントに、英文の音がつながっている箇所に下線を引き、音が消えている箇所は( ) を書き込む。
7.英文のconnected speechが確認できたら、自分が覚えたい例文を選んで何度か発音する。
まずは平仮名で英語を書き取ってみることで、英語の音のつながりに意識を向ける練習になります。
この音のつながりを意識できた段階で英文に注意を向け、音と文字のつながりを強化するとリスニング力の向上になります。
4) 使えるリソース
ハイディの法則77
英語のconnected speechを平仮名で分かりやすく説明している本。CD付です。 ハイディ矢野・著 講談社、ISBN: 978-4062098786
Pronunciation Practice Activities
実用的な発音指導のアイディアが満載。Connected speechのアクティビティも記載されています。 Martin Hewings・著 Cambridge出版、ISBN: 978-0521754576