フォニックスで大人向け発音指導!母音と子音の教え方
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従来の英語の学習方法では、単語や文法が重視されがちでしたが、実は、効率的に英語力を上げるには、発音学習が不可欠です。今回は、近年注目の「フォニックス学習法」で発音指導するときのコツを紹介したいと思います。
そもそもフォニックス学習法とは?
英語の文字と発音の関係性を学び、正しい発音を身につける
フォニックス学習法とは、英語の文字と発音を結び付けるルールを学ぶことで、正しい発音を身につけることができる学習法です。
日本ではあまり馴染みがありませんが、教育界では広く認知されており、英語圏の子供たちをはじめ、世界中で取り入れられている学習法なので、その効果はお墨付きです!
綺麗な発音で英語を話せるようになるだけでなく、知らない単語も音を組み合わせることで、推測して正しく発音できるようになります!
フォニックス学習法で発音指導するときのコツ
英語が第一言語の国には、アメリカ、イギリス、アイルランド、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ共和国があり、さらに同じ国内でも、地方によって発音やイントネーションが異なるため、学習法を一つに絞ることはできません。一般的に、日本の学校や英語教室ではアメリカ英語を学ぶ機会が多いので、今回はアメリカ英語のフォニックス学習法で発音指導するときのコツを紹介します。
母音を教えるときの4つのポイント
母音の基本となる単母音を教えるときのポイントを4つご紹介します。
口の横の開き(頬の張り)を意識させる
厳密に言うと、舌の前後の位置によって音が変わりますが、コツをつかむまでは難しいので、まずは口の横の開き(頬の張り)を意識させてみてください。
手を頬に当てながら発声練習をしてみると、口がどれくらい横に開いているのか(頬が張っているのか)、手でも違いを感じることができるので、ぜひ生徒と一緒に確認してみてください。
[iː][ɪ][ɛ][æ]
日本語の「イ」の口のように、口を横に引っ張る(頬を張る)
[ə][ɚ][ʌ]
口も頬もリラックスした状態
[uː][ʊ][ɔ][ɑ]
日本語の「ウ」の口のように、口をすぼめる(頬を凹ませる)
口の縦の開き(顎の高さ)を意識させる
厳密に言うと舌の高さによって音が変わりますが、コツをつかむまでは難しいので、口の縦の開き(顎の高さ)を意識させてみてください。
手を顎の下に当てながら発声練習をしてみると、口がどれくらい縦に開いているのか(顎がどれくらい下がっているのか)、手でも違いを感じることができるので、ぜひ生徒と一緒に確認してみてください。
[iː][ɪ][uː][ʊ]
口を閉じた状態とほとんど同じ(顎を下げない)
[ɛ][ə][ɚ][ʌ][ɔ]
指が半分入るくらい、口を縦に開く(指半本分顎を下げる)
[æ][ɑ]
指が1本入るくらい、口を縦に開く(指1本分顎を下げる)
息(音)の長さを意識させる
二重母音では、長い息(音)と短い息(音)を組み合わせます。
[iː][ ɚ(ː )] [uː]
息を長く吐く(音を伸ばす)
[eɪ][aɪ][aʊ][oʊ][ɔɪ]
最初の音は息を長く吐き(音を伸ばし)、次の音は息を短く吐く(音を止める)(二重母音)
[ɪ][ɛ][æ][ə][ʌ][ʊ][ɔ][ɑ]
息を短く吐く(音を止める)
喉(声帯)の振動を意識させる
喉(声帯)が震えるものを有声音、震えないものを無声音といいますが、手を喉に当てながら発声練習をしてみると、手でも違いを感じることができるので、ぜひ生徒と一緒に確認してみてください。
ここまで紹介してきた母音は全て有声音のため、こちらでは子音も例に挙げたいと思います。
有声音: 喉(声帯)の振動あり
・全ての母音
・[b][d][g][v][ð][z][ʒ][dz][dʒ][m][n][ŋ][l][r][w][y](子音)
無声音: 喉(声帯)の振動なし
・[p][t][k] [f][θ][s][ʃ][h][ts][tʃ](子音)
子音を教えるときのポイント
子音は、調音法(空気の流し方)と、調音点(空気を遮る器官)の組み合わせによって、音が決まります。調音法には、破裂音(はれつおん)、摩擦音(まさつおん)、破擦音(はさつおん)、鼻音(びおん)、接近音(せっきんおん)があり、調音点には、両唇(りょうしん)、両唇軟口蓋(りょうしんなんこうがい)唇歯(しんし)、歯(は)、歯茎(しけい)、後部歯茎(こうぶしけい)、硬口蓋(こうこうがい)軟口蓋(なんこうがい)、声門(せいもん)があります。
破裂音とは?
破裂音とは、器官をぴったり合わせて空気の流れを止め、離したときに一気に空気を開放することで発する音です。スイカの種を遠くへ飛ばすイメージを持つと良いでしょう。正しく発声していれば、口の前に垂らしたティッシュを、息で動かすことができるはずです。ぜひ生徒と一緒に確認してみてください。
[b][p]
両唇を合わせて空気の流れを止めてから、離したときに一気に空気を開放する(両唇破裂音)
[d][t]
舌先を上前歯裏の歯茎に当てて空気の流れを止めてから、離したときに一気に空気を開放する(歯茎破裂音)
[g][k]
舌根を口の天井に当てて空気の流れを止めてから、離したときに一気に空気を開放する(軟口蓋破裂音)
摩擦音とは?
摩擦音とは、ギリギリ空気が通るくらいまで器官を近づけ、細い隙間から空気を出すことで発する音です。摩擦音は空気の流れを一度も止めないので、息が続くかぎり音を出し続けることができます。歌と同じで、息が安定すると音も安定するので、音の長さをストップウォッチで計って新記録を狙ったり、誰が最も長く音を出し続けられるかを競ったりして、ぜひゲーム感覚で、生徒と一緒にトレーニングしてみてください。
[v][f]
上前歯を下唇に軽く当てながら、細い隙間から空気を出す(唇歯摩擦音)
[ð][θ]
上下前歯で舌先を軽く挟みながら、細い隙間から空気を出す(歯摩擦音)
[z][s]
舌先を上前歯裏の歯茎に軽く当てながら、細い隙間から空気を出す (歯茎摩擦音)
[ʒ][ʃ]
舌先を上前歯裏の歯茎よりも少し奥に軽く当てながら、細い隙間から空気を出す(後部歯茎摩擦音)
[h]
喉の入口から空気を出す(声門摩擦音)
破擦音とは?
破擦音とは、破裂音と摩擦音を組み合わせた音です。同時に音を出すのではなく、まずは破裂音のように空気の流れを止めてから一気に開放し、直後に摩擦音のようにギリギリ空気が通る くらいまで器官を近づけ、細い隙間から口の中の空気を出しましょう。
[dz][ts]
舌先を上前歯裏の歯茎に当てながら、空気の流れを止めてから、細い隙間から空気を 出す(歯茎破擦音)
[dʒ][tʃ]
舌先を上前歯裏の歯茎よりも少し奥に当てながら、空気の流れを止めてから、細い隙間から空気を出す(後部歯茎破擦音)
鼻音とは?
鼻音とは、口からは空気を出さず、鼻から空気を出すことで発する音です。
[m]
両唇を合わせながら、鼻から空気を出す(両唇鼻音)
[n]
舌先を上前歯裏の歯茎に当てながら、鼻から空気を出す(歯茎鼻音)
[ŋ]
舌根を口の天井に当てながら、鼻から空気を出す(軟口蓋鼻音)
接近音とは?
接近音とは、摩擦音ほどは器官を近づけず、やや細い隙間から空気を出すことで発する音です。中央接近音は、舌の中央から空気を出し、側面接近音は、舌先で舌の中央を塞ぎ、舌の両 側から空気を出すことで発する音です。
中央接近音
[w]
両唇を近づけながら、舌根も口の天井に近づけ、舌の中央のやや細い隙間から空気を出 す(両唇軟口蓋接近音)
[r]
舌先を上前歯裏の歯茎に近づけ、舌の中央ののやや細い隙間から空気を出す(歯茎接近 音)
[y]
舌全体を口の天井に近づけ、舌の中央のやや細い隙間から空気を出す(硬口蓋接近音)
側面接近音
[l]
舌先を上前歯裏の歯茎に当てながら、舌の両側のやや細い隙間から空気を出す(歯茎側面接近音)
子音の発声練習をするときに、子音の後に母音の[u:]を足して、日本語のような音にならないように注意してください。
✕ [buː]「ブ」→ 〇 [b]
✕ [fuː] 「フ」→ 〇 [f] など
フォニックスで大人向け発音指導!母音と子音の教え方 まとめ
フォニックス学習法とは、英語の文字と発音の関係性を学ぶことで、正しい発音を身につけることができる学習法です。頭で理解させるだけでなく、音の違いを体で感じられるように、積極的に発声させてあげてください。