Youtube動画を使ったリスニング指導法と教材作りの便利ソフト紹介
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インターネットなどメディアの発達で生の英語を身近に得られる時代になったにもかかわらず、リスニングに苦手意識を持つ人が多いのが現状です。この記事では、動画を使ったリスニング指導法とその教材づくりに便利なソフトの紹介をします。
動画を使ったリスニング指導の手順
学習者のリスニング能力を判断する
まず、対象となる学習者のリスニング力を知る必要があります。リーディングが得意だからリスニング力もあるとは限りません。確認する点は、「リスニングの前にリーディングにおけるスラッシュ読みができるかどうか」です。
英語はリスニングに限らず、前から情報を処理していくことが大切です。それなくしてリスニング力アップにはつながりません。
まず、以下のような短い文章を提示します。
Most people and many managers do not understand /
the role of marketing /
in modern business.
スラッシュの1区切り毎に提示して、そこまでの情報を日本語で言わせる、または書かせるなどして確認をします。訳させるのではなく、捉えたイメージ、具体的情報を出し合います。
次の区切りを見せる際には、前の情報は消します。視界から見えなくします。同じくその情報を確認をします。
これを繰り返して、1文章の情報としてまとめさせて、全体を確認します。決して1文章全部を提示はしません。時系列で入ってくる情報を組み立てて、処理できるかという能力を判定します。
なるべく単語に関しては熟知しているレベルで、難しいものが入っていない文章を使うといいでしょう。学生なら学校場面に関する文章、社会人ならビジネスに関する場面など、単語で使われるシーンが分かる文章を選んで、長さや語彙などで難易度別に3~5段階くらい文章を作って確認してみると良いでしょう。
何の要素に躓いているかを分析する
第二言語研究取得研究と脳科学の研究から、第2言語を習得した人には、母国語とは異なる言語の回路が存在すると論文に発表されています。言語に関しては、文法、発音、単語という3つの要素がうまく稼働することで、言語活動の習得が可能となります。
文法
英語の情報を前から、または耳から入ってきた情報を時間系列で処理できることは、文法につながります。
発音
前から処理できても、音が把握できなければ思考は停止してしまいます。
たとえ知っている単語であっても、リエゾンなど色々な要素でその単語の音が把握できなければ処理はできなくなってしまうので、発音や音の繋がりをインプットすることは必要となります。
単語
さらに、知らない単語は音声的にも、意味的にも処理できなくなり、また知っている単語でも、使い慣れない異なる意味で出てくる場合も処理が止まってしまいます。
推測する力
前から入ってくる情報を処理すると同時に、音的に把握できないものや意味的に把握できないものに対して、そこで処理をやめてしまうのでなく、推測しながら後半の音を聴き処理を進めることも習得の目標となります。
学習者が上記の中で何に躓いているのかを、学習者と指導者が共通認識として持つために、分析が重要となるでしょう。発音だったのか、単語だったのか、概要が捉えられなかったのかなど、トレーニングの過程でタスクを明確にしカウンセリングしながら、「リスニングできなかった」要素の深掘りをすることが大変重要です。
さらに授業やレッスンで、トレーニングの動機付けになるような言葉がけをし、モチベーションをアップすることも指導者の大切な指導目標となるでしょう。
リスニングトレーニング方法
トレーニング方法は、学習者のレベルによりいろいろなバリエーションを考えることができます。使用する素材によっても変化が可能です。最初にタスクを提示しておき、聞き取ることを絞っておくといいでしょう。
1度目のリスニングで、トピックが何か?概要を聞き取る
→1度聞いて、聞き取れた単語や表現を挙げる
→単語、表現をもとに話題、トピックを大まかに推測させる
2度目のリスニングで、さらに細かく聞き取る
→5W1Hなど文脈に沿って、聞き取る点を絞る
3度目のリスニングで、書かれていないことを推測する
→言われていないところから状況を推測するなど
指導者の役目は、機材の操作だけではありません。学習者から聞き取れた点を積極的に引き出したり、ヒントを投げかけたり、タスクの難易度を上げ下げして調整するなど、働きかけの姿勢が重要になってきます。
そして、細かい表現が聞き取れなくても、推測することの重要性を伝え、聴覚的だけでなく、視覚的な情報や過去の知識・情報などにより推測することも、十分にリスニングに生かせるということを伝えることも大切です。
このように、ターゲットを絞りながら同じ素材を何度も聞くことで、聴くポイントを深めるトレーニングが可能になります。各タスクを確認しつつ、解答例を示し、単語や表現の整理、発音の整理など文字情報での解説や、トランスクリプションを見ながらのリスニング、トランスクリプションを見ながらの音読やシャドーイングなど、レベル別に作業を加えて発展させることも可能です。
動画を使ったリスニングトレーニングのための教材作り
リスニングの指導に必要となる教材
・音源
・画像、動画
・単語や表現の説明
・タスク表
・トランススクリプション
音声だけのものもいいでしょうが、一般的にリスニングに苦手意識を持つ学習者には、身近な素材としてYoutube動画などの視覚的情報を元に、興味のある動画を選択して教材にする方法を提案します。
YouTubeを使う利点は以下の通りです。
・コストがかからない
・再生速度の変化が可能
・動画の視覚的情報がリスニングの助けになる
・学習者の興味のある素材が入手しやすい
・トランスクリプトがすぐ作れる
市販のリスニング教材は購入するためにコストもかかり、トレーニング用として色々な用途に教材を作り変えるのに手間がかかります。
YouTube動画は、音声再生速度を変えられるので、学習者のレベルに合わせてスピードを変えられます。またピンポイントである箇所のみの速度調整も可能です。
音声のみより動画の視覚的情報がリスニングの助けになる点が便利です。
教育的な素材だけでなく、how toもの、娯楽、旅行、日常生活に関するものなどジャンルが広く学習者の興味のある素材が入手しやすいことも利点です。興味が湧かないもの、苦手意識のあるものなど、難しいという印象を持ってしまうと脳が働かなくなってしまうことは、脳科学で実証されています。楽しい、面白い、興味を持たせることで脳を活性化し、受け入れやすくさせることでリスニング学習を促進させることが可能になります。
Youtube動画は日常生活に溢れる身近な素材の宝庫です。これを教材に使わない手はありません。
動画を使ったリスニング教材づくりに役立つソフトの紹介
Youtube動画を教材として使う場合、トランスクリプションなど資料作りは、指導者にとっても大変時間がかかるところです。音声から文字おこしをして原稿を作るのは手間がかかります。そこで、音声入力で自動的に文字起こしをしてくれるソフトを紹介します。
無料ソフトVB-CableとGoogleドキュメントを使った音声入力文字起こしする方法
『VB-Cabl』は無料でダウンロードして使用できるものです。再現性は完璧とまではいきませんので、細かくチェックして手直しは必要になりますが、短時間で書き出しをしてくれるので、トランスクリプション作りには大変便利です。
以下が、『VB-Cabl』のダウンロード、インストール、使用方法の手順です。
(1)「仮想オーディオデバイス「VB-CABLE」インストール方法」で検索
(2)ソフトをダウンロード(ダウンロードはご自身の責任のもと行ってください。当記事ではダウンロードに関する一切の責任を負いません。)
(3)ダウンロードされた『VB-Cabl』をクリックしてインストール
(4)インストールが完了したら、サウンドの入力・出力を変更する
→システム環境設定から「サウンド」を開いて、入力・出力ともに「VB-CABLE」を選択します。
(注意)文字起こしが最後まで完了したら、ここを元に戻すのを忘れないように!音が聞こえないままになってしまいます)
(5)Googleのドキュメントを開いて、「空白」をクリック
(6)文字起こししたい動画(Youtube)を用意して
(7)ツール → 音声入力をクリック
(8)動画を先に再生してからマイクのボタンをクリック
(9)文字起こしが開始(音声は出ません)
(10)動画が止まるとマイクも止まる
動画を使ったリスニング指導法と教材作り まとめ
リスニングに苦手意識を持つ人が多いのが現状の中、リスニングの指導法はまだまだ研究が必要な分野と言えるでしょう。インターネットなどメディアの発達で生の英語を身近に得られる時代、動画をもっとリスニングのトレーニングとして利用し、紹介した便利なソフトを使用して、学習者に興味関心を持たせる教材を作り、リスニングの指導に役立てていただきたいと思います。