子ども英語レッスン指導~単語レベルから抜け出す2つの指導法
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幼児の英語指導というと、果物の絵カードを見せて
先生:What’s this?
子どもたち:Apple!
こうしたやり取りを思い浮かべる方は多いかもしれません。
でも、おうちの方からは「単語ばかりでなく、文で言えるようになってほしい」「文法わかっているのかしら」といった声が聞こえてきます。このような保護者の要望にはどう応えればよいのでしょうか。
幼児は私たち大人とは違ったアプローチが必要です。
幼児に文章を教えるときは、トップダウン(全体→細部)が効果的
一般に、外国語を学ぶときは単語を覚え、文法を学びながら短い文が言えるようになり、やがて長めの文章を読み書きして・・・のように「小」から「大」に移行していきます。
つまり、ボトムアップの学習法です。
これに対して子どもたちには、トップダウンの学習が効果的です。
「大」から「小」へ。
「全体」を見せてから「細部」へ。
子供に日本語の歌や絵本を読み聞かせるときを想像してみよう
例えば、日本語の歌を子どもたちに教える場合はどのようにすればよいでしょうか。
幼児に単語を教えてから、歌を聴かせるでしょうか?
まちがいなく、歌全体を始めに聴かせますよね。
そして、歌の世界を一緒に楽しみます。
絵本も同じです。
絵本全体を読んで聴かせて、お話の世界を楽しみます。
その中から、状況に応じたフレーズやセンテンスを学んでいきます。
英語レッスンも、基本的には同じ順番です
歌や絵本の世界にどっぷりつかる中で、子どもたちは自然とシチュエーションに合った表現を覚えていきます。
「わたしも!と言いたいときは、Me tooって言うんだな」
「嫌いな食べ物が出てきたら、No thank you」
などと理解し、中には先生と一緒に声に出し始める子も出てきます。
耳と体を使って繰り返し楽しみ、知らないうちに語彙を増やし、表現を覚えることが出来るのが子どもたち、特に幼児の強みなのです。
歌・チャンツを使って英語の文章を導入する方法
歌やチャンツは英語らしいリズムを身につけるのに最適の教材です。
有名な「Five Little Monkeys」や「Who took the cookies?」は、手遊びやジェスチャーなど、体を使って歌える楽しいチャンツです。
(1)手遊び
ここでは、Five Little Monkeysを例にとってアクティビティの展開を考えていきましょう。
(1) 5匹の子ザルやベッドの絵を描き、子どもたちに歌全体を聴かせる。
(2) YouTube動画でFive Little Monkeysを見せる。(聴かせる歌がSuper Simple Learningのものであれば、ダウンロード教材と関連付けられます)
(3) ジェスチャーや、手をたたくなど身体でリズムをとるアクティビティを行う。
手を使ったアクティビティ例はYouTube動画でも検索できますので、参考にすることをお勧めします。
いずれにしても、先生がまずは子どもたちの前で大きく動作して見せることが大切です。
ぜひ、子どもたちと一緒に楽しみましょう!
(2)一緒に歌う
何度も繰り返し聴いたら、今度は一緒に歌ってみましょう。
難しそうな表現は、先生がゆっくり大げさに強調して歌って見せます。
幼児の場合、まだまだ口周りの筋肉は発達していませんから、できない発音もあります。無理に正しい発音にしようとするのではなく、全体的なリズムが合っていればOKにしてあげます。
(3)発表する
みんなで歌えるようになったら、歌・チャンツのミニ発表をやってみましょう。
おうちの方に参加していただいてもいいですね。
みんなですることでハードルが低くなりますし、出来た幼児には達成感が生まれます。もうこのころには、みんな”No more monkeys jumping on the bed”が言えるようになっているはずです。
絵本を使って英語の文章を導入する方法
絵本は、言葉がわからなくても、子どもがお話の世界に入ることが出来る教材です。
繰り返しが多く、リズムのよい表現で書かれている絵本であれば、子どもたちは何度聞いても飽きずに楽しめて、記憶に残りやすいでしょう。
(1)お話を聞く
絵本を読むときには、まず表紙を見せて「どんなお話かな」と興味を沸かせることが大切です。ぜひ、そこに描かれているものをいくつか指さして、子どもたちとお話しましょう。
次にお話を読んで聞かせます。付属のCDがあればそれを使用するのもよいでしょう。
お話を聞いたら、”Can you find a dog?”など、絵本のページをめくりながら、登場するものを探しすアクティビティもできますし、色の表現がわかっている子どもたちであれば”What color is the cat?”などとやり取りしながら、絵本の中身をふり返ることもできます。
子どもの英語レッスンでは表現を「かたまり(チャンク)」でとらえることが大切です。”I want to play!”ならこのチャンクのまま覚えます。wantの意味を取り上げたり、I want to eat.など他の文を作る練習をする必要はこの年ごろでは必要ありません。
(2)絵本を読む
実は、絵本を使ったレッスンはこれで終わりではありません。今度は、先生と一緒に読んだり、ジェスチャーをつけながら気持ちを込めて読んでみたり、という活動が可能です。
実際には「読む」というよりは「できるところは先生のまねをする」ことが目標になります。
子どもたちにとっては、絵本のお話を楽しむことが大切です。
(3)登場する単語を学ぶ
次に、ターゲットとなる単語を使用したアクティビティを考えます。
絵カードを使って”Touch the XXX!”とターゲット単語に触れさせたり、かるたのように遊んでみてもよいでしょう。
それぞれに絵カードを配っておき、先生が言ったカードを頭の上にあげるというゲームもできます。
これは上級編ですが、絵カードを絵を下にした状態に重ね、上から順に一人ずつ取ったら、その単語を言うというゲームも考えられます。
ゲームとなると勝ち負けにこだわる子も出てきますし、早い子と遅い子で個人差があります。いろいろなタイプのアクティビティをすることで、どの子にとっても活躍できる場を作ることが大切です。
(4)発表する
十分に聴いて表現に慣れ親しんだら、最後は子どもたちに絵本について発表をさせます。絵本の中から好きな絵を子どもたちに描いてもらい、ひとりずつ、一言加えながら発表する(This is the elephant. のような紹介でも、I want to play!のような絵本の中のセリフでも)時間を取ります。
発表には発表する側にも聞く側にも「好ましい姿勢」があります。相手の方を見て聴く、拍手する、など毎回使うルールはイラストを見せながら、教室の中でわかりやすく伝えて練習しておきましょう。聴く・話す姿勢は小さいときから養っておくと、その後のレッスン参加がスムーズになります。
Classroom Englishに気を配る
教室で先生が使う英語表現は、子どもたちの年齢や理解度に合ったものを繰り返し使用します。毎回、決まった表現を使うことで、子どもたちに安心感を与え、聞いてわかるだけではなく、自分でも言えるようになります。
教室英語ではセンテンスで伝えます。
“Let’s play a game!”
“Who wants to try next?”
“Please watch me.”
など、使用する教室英語はあらかじめ決めておき、毎回同じ表現を使います。
また、子どもたちにもセンテンスで言うよう習慣づけます。
例えば、レッスンの最後にシールを配る教室では
“I’d like this sticker, please.”
“Thank you.”
が言えるように日頃から練習しておきましょう。
レッスンの最初に、教室英語をみんなでおさらいしておくといいですよ。
その際には「練習」という雰囲気にならないように、リズムを利用して楽しく復習することをお勧めします。
子ども英語レッスン指導法 まとめ
英語の早期学習にはますます熱い視線が注がれています。その一方で、成長段階に合わない学習をさせてしまうと子どもがと英語嫌いになってしまう心配もあります。
英語との出会いが素晴らしい経験になるように、幼児には、その発達段階や特徴を踏まえた上で楽しいレッスンを展開していきましょう。